Auguste Reymond (オーガスト・レイモンド) 本国のHP/日本代理店のHP
(2003/12/25, 2004/1/22, 2004/4/25)
1898年,オーガスト・レイモンドが27歳のときにスイスのトラメランに創業したメーカーです.オーガスト・レイモンドが紹介されるときの常套句は「小型キャリバーユニタス」ですが,そのキャリバー自身は見たことはありません(^^;;;).ユニタス自身はもともとはオーガスト・レイモンドの製造部門でした.ユニタスは,1932年(34年説もあり)にオーガスト・レイモンドから切り離され,エボーシュS.A.
の傘下に入り,以後,1983年の操業停止まで手巻きムーブメントを供給したと思われます.
1946年9月に彼が亡くなると,ASUAGグループ(コンコルド・エテルナ・ロンジン)に統合され,その後SSIH(オメガ・ティソ),そしてSMH(現スウォッチグループ)に属しましたが,1984年にジェームズ・ショーファーの手によってSMHから独立しました.そして,1989年に現社長のトーマス・ルーズリー(Thomas
Loosli)氏が若干28歳で就任し,現在に至りました.
オーガスト・レイモンドの時計は,ジャズやミュージックのネーミングの時計が多いことに気づくと思います.それは,社長もアマチュアのジャズミュージシャンで,夫人がプロのジャズシンガーであることに由来しています.
それから,オーガスト・レイモンドは,私が知る限り,値上げを全くしたことがありません.これはひとえに代理店の努力の賜物だと思います.最近,ようやく代理店のHPも整備され(といっても,本国のHPの日本語訳+日本の価格,というものですが),なかなかがんばっていると個人的には思います.
オーガスト・レイモンドの時計は,機械式時計では廉価な方になります.ちょっと背伸びをすれば,比較的簡単に買える時計ばかりです.しかも,デザイン的にも隙があるものが多いと思います.しかしながら,これで十分と思わせる魅力があることも確かです.価格的にもデザイン的にも,ルーズリー氏の「Jazzyにいこうよ!」という微笑が浮かんでくるような時計ばかりだと思います.どうも私は,オーガスト・レイモンドに対しては,「あばたもえくぼ」という境地になっているようなので,公平な判断はできません(^^;;;).(2003/12/25)
Evergreen (エバーグリーン)
Ref. 611040
SSケース/革ベルト/ケース径36mm/厚さ9mm/手巻き
エバーグリーンは1995年頃発売になったようです.エバーグリーンには,手巻の三針以外に,自動巻きクロノグラフもあり,こちらは1996年のバーゼルフェアで発表されました.自動巻きクロノグラフの方にはシルバー文字盤があったようですが,手巻三針はこの黒文字盤だけだったそうです.なお,自動巻きクロノグラフに二種類以上の文字盤があったのかどうかは不明です.
この時計は,1995年頃に250本限定で発売されました.文字盤は黒で,これにシルバーのアラビア数字インデックスと先端が細くなったモダン型の針というデザインです.文字盤にはモデル名と搭載ムーブメントである「UT6300」の刻印があります.
クリケットと同じ5振動のセンターセコンドは,秒針の動きがユーモラスなのが私好みです.それから,時計の音もなかなかいいと思います.
シリアルNo.は230/250で,これはセンターの受けに刻印されています.ムーブメントは1950年代に開発されたユニタス6300
です.シースルーバックで,RGP仕上げです.センターセコンド用のブリッジがなかなか興味深いです.ガンギ車の軸受け石(シリアルNo.直下)にシャトンリングが入っています.17石・5振動で,おそらく13リーニュです.
現行品では,ジャッケ・エトアールにユニタス6300を搭載している時計があります.細かくいえば,ジャッケ・エトアールがユニタス6300SC,オーガスト・レイモンドがユニタス6300Nのようで,センターのブリッジの形状が少し異なります.なお,ユニタス6300はムーブメントは開発・製造はされたものの,それを搭載した時計は販売されなかったとのこと.真偽のほどは確かではありませんが...(2003/12/25)
In the Mood (イン・ザ・ムード)
Ref. 611060
SSケース/革ベルト/ケース径34mm/厚さ9mm/手巻き
1998年頃に500本限定で発売された時計です.文字盤は濃紺以外に黒とシルバーがありました.
楔形とアラビア数字を組み合わせたアップライトインデックスはなかなかおしゃれです.文字盤も針は夜光入りで,文字盤には搭載ムーブメントである「UNITAS
6325」の刻印があります.
シリアルNo. は332/500で,これは連列受けに刻印されています.ムーブメントは1960年代に開発されたユニタス6325です.見た目はジャッケ・エトアールに搭載されているユニタス6376とそれほど変わりませんが,コハゼの形状が異なります.17石・6振動で,おそらく13リーニュです.
受けにある「ARSA」とは,「Auguste Reymond S.A.」の略です.以前は腕時計にもARSA銘の時計がありましたが,現在では,ARSA銘は懐中時計に残るのみとなっています.(2003/12/25)
この時計,よーく見ると,スモールセコンドの30-40秒あたりの縁に塗装の剥げがあることが発見されました(ToT)...ですので,代理店の方と連絡をとって,文字盤交換のためスイス送りになり,1ヵ月後に文字盤が交換されてきました.文字盤交換時に,何と,もとの文字盤まで送っていただきました.それがこの画像です.こうやって文字盤というパーツを見たことが無かったので,これはなかなか新鮮でした(^^)...(2004/4/25)
Ballad (バラード)
Ref. 66100
SSケース/革ベルト/縦33mm/横24mm/厚さ8mm/手巻き
2000年のバーゼルフェアで発表された999本限定の時計です.文字盤はこの白以外に,グレーと濃紺がありました.アップライトのインデックスにブルースチールの針はかなり美しいです.文字盤も薄いシルバーに溝が彫ってあって,いい雰囲気です.ケースも角型に流線型のラインを追加した,なかなか優美なデザインだと思います.
個人的には,時分針の夜光はいらないと思います.また,秒針の形状もあんまり好みではありません.さらに,日付は早送り機能がないのでかなり不便です.これなら付けない方がよかったと思います.ですが,そういう隙のあるところも,ユーモラスといえばそうですし,オーガスト・レイモンドらしいと言えるかなぁ?
特に,バラードの白文字盤は人気があったらしく,後から文字盤を換装した上で再販売されたようです.ですので,実はバラード白文字盤にはスモールセコンドのバリエーションが3つ存在します.一つはこの時計のタイプ,一つはカタログに載っているタイプでインデックスの数字が15秒刻みのもの,最後の一つがインデックスがレイルウェイタイプになったもの(数字は10秒刻み)です.
シリアルNo.は104/999です.ヴィンテージ・ウォッチNo.7に,シリアルNo.が同一の(したがって私が所有している)時計が掲載されていました.
ムーブメントは1960年代初頭に開発されたユニタス6570です.17石・6振動で,おそらく7
1/2リーニュと小型です.日付付きですが,早送り機構は付いていません.極軽い巻き味は,私は大好きです.
受けの形状は,6325や6376をそのまま縮小した感じですが,ガンギ車受けの部分が丸く飛び出ています.コハゼはユニタス6376と同じタイプです.
小型ムーブメントを角型ケースに入れたため,スモールセコンドが中央よりになっています.ただ,これはこれでなかなか味があると思います.(2003/12/25)
Boogie (ブギ)
Ref. 611100
SSケース/革ベルト/ケース径34mm/厚さ9mm/手巻き
2002年に発売された999本限定の時計です.白文字盤と黒文字盤,それから金無垢ケースの白文字盤アップライトインデックスがあります.白文字盤は,夜光付アラビア数字インデックスで,針は夜光入りのブルースチールです.
日付付きですが,日付早送り機構は付いていません.日付の窓の開け方もなかなか面白いです.ただ,正直,オールドユニタスシリーズに日付は必要ないと思うのですが...
オーガスト・レイモンドの筆記体のロゴは,白文字盤の時にはちょっと色合いが面白く,Auguste
と Reymond の間のライン,および Reymond の o の中が青になります(黒文字盤の場合,ロゴ,ライン,oの中とも白一色です).これは上のバラードでも同じです.
ブギのケースは実はインザムードとほぼ同一です.しかも,裏蓋のキャリバー名の刻印が,インザムードでは「UT
6325」となっているのに対し,ブギでは「UT 6425」のUが「|_|」となっています.こんなところをケチらなくっても,と思わず思いました.
ブギから,革ベルトのステッチがベルトと同色になりました.確かに白だと色褪せる可能性はありますが(実際にエバーグリーンやインザムードはちょっと色褪せている),これは白ステッチの方が個人的には好みです.
シリアルNo.は069/999です.ムーブメントは,1960年代に開発されたユニタス6425です.最近(2003年末)販売された,グレース・ファブリオのネイキッド・ムーブメント01に搭載されているユニタス176のおそらく後継となったムーブメントだと思います.ユニタス176と比較すると,やっぱり香箱や丸穴車の仕上げが違いますし,ユニタス176がチラネジつきテンプなのに対して,こちらはスムーステンプです.
ただ,どうなのでしょう?私自身はユニタスを金無垢ケースに入れる感覚がちょっと,という気がしますし,ブギで十分と感じています.これは実物を見ると気持ちが変わる可能性は大ですが(^^;;;).
輪列受けの形状はETA7001あたりと似ていますが,テンプ受けの形状はユニタス独特の形状です.17石・6振動で,おそらく13リーニュです.(2003/12/25)
上で紹介した「OLD UNITAS」シリーズを並べてみました.(2003/12/25)
Charleston Doctor (チャールストン・ドクター)
Ref. 56002
SSケース/革ベルト/縦30mm/横24mm/厚さ8mm/手巻き
バーゼル時計年鑑によると,1995年のバーゼルフェアで発表された時計です.文字盤はおそらく白色の漆仕上げ.それに黒色でローマ数字の時間インデックス,アラビア数字の秒インデックス,その周りには青で線が入っていてなかなかきれいです.針もブルースチールで,リューズにも青い飾り石が入っています.
時分針と秒針が重ならないように独立した,いわゆる「ドクターズウォッチ」です.ドクターズウォッチは,ロレックスのプリンスが嚆矢で,そのキャンペーンで,「(裕福な人が病気になって回復したとき)医者へのお礼としてプリンスを送ろう」ということで,ヒットしたようです.そのために,プリンスでは医者が脈拍をとるのに便利なようにと秒針をずらしていました.それ以後,このような時計をドクターズウォッチと呼ぶようになったようです.
この時計の一番の欠点は,ゼンマイが非常に巻きづらいことです!また,針の形はいいのですが,時分針も少し読み取りづらいです.
革ベルトの質感もあんまりよくなかったので,これは夏の使用にも耐えられるように,チャールストン用のSSベルトに交換しました.すると,見違えるような時計になりました(^^).あまりにかっこよくなったので,この時計は夏の常用時計の一つになっています.
ムーブメントはGP仕上げのAS(ア・シールド)1727 でシースルーバックです.6振動でおそらく7
1/2リーニュです.AS1727はすでに製造されてはいないようですが,ストックがかなりあるらしく,さまざまなメーカーからAS1727を搭載した時計が出ています.
受けの形状はユニタス6580と似ていますが,ガンギ車受けの部分はこちらは直線的で,テンプ受けの根元も若干異なります.(2003/12/25)
エポスのドクターズ・ウォッチも購入しました.同一ムーブメント・同一機能なのに,いろいろと違いがあって興味深い時計です.(2004/1/22)
Cocktail (カクテル)
Ref. 69094
SSケース/革ベルト/ケース径36mm/厚さ8mm/自動巻き
カクテルは,2000年にバーゼルフェアで発表されましたが,1999年には販売されていたようです.ディスク秒針を搭載した,いわゆるカクテルウォッチです.このディスクには青・グレー・茶の三色があります.似たような時計として,オーガストレイモンドにはフュージョンもあります.こちらは,メンズとレディースがあり,メンズの色はカクテルと同じですが,レディースは青・赤・緑とカラフルになっています.
ムーブメントはETA2824です.8振動の自動巻きです.ごくごく普通のムーブメントです.
この時計の売りは文字通り,二枚のディスクを重ねたディスク秒針です.運針すると,その模様が万華鏡のごとく変化します.いずれ時間ができたら,ムービーを準備するかもしれませんが,とりあえず画像でその様子をご覧ください.(2003/12/25)