Recommended Books

(2004/5/21, 2004/7/1, 2004/9/24, 2004/12/26, 2006/8/1)

ここでは,時計関連の私のお薦めの書籍を紹介します.

資料(カタログ類)
洋書
和書


資料(カタログ類)

ここで紹介しているものは,昔のムーブメントカタログです.ですので,書籍とは言えないとは思いますが(^^;;;),今ではなかなか得がたいムーブメントの情報が掲載されているので紹介しています.特に,エボーシュS.A.が如何に多くのムーブメントを製造していたかが分かります.

Official Catalogue of Swiss Watch Repair Parts

これは書籍ではなく,ムーブメントのカタログ.各年代で出版されたようであるが,これはPart 1 が1948年,Part 2 が1949年の出版.Part 1 がエボーシュS.A.のムーブメントカタログで,Part 2 がそれ以外のスイス製ムーブメントのカタログ.どちらも200ページ以上あり,ムーブメントが好きならばなかなか見ごたえあり.ただし,Part 1 は主にムーブメントの文字盤側が掲載されていて,少し残念.
Official Catalogue of Swiss Watch Repair Parts

これは上のカタログの1955年版.上が片面印刷なのに対して,こちらは両面印刷となっており,一冊で Part 1 と Part 2 を含んでいる.内容は上の1948-9年版と同一であるが,当然ムーブメントには追加・削除がある.掲載されているムーブメントの数は上とほぼ同じであるが,印刷形式によりページ数は約半分となっている.
Catalogue Ebauches SA

エボーシュSAの1976年のムーブメントカタログ.エボーシュSAはこの頃には統廃合が進んでおり,掲載されているメーカーは,順にAS(1130-2186,5001-5260),FHF(37-905),ETA(2412-2982),ユニタス(6300-6503),FEF(6630-6877),プゾー(7001-7077),バルジュー(23系,72系,7720-7770),EB(8155-8827),ESA(9120-9392)となっている.1つのキャリバー(系列を含む)当たり2-3ページの情報があり,ムーブメント両面のイラストとパーツリストが掲載されている.私のようなエボーシュS.A.が大好きな人にはかなりお薦め.
Spare Parts Lists of Old Omega Calibers

文字通り,オメガのスペアパーツリスト.キャリバーは30mmキャリバーとして有名なキャリバー260,269,286,クロノグラフのキャリバー860(レマニア1872),1040(レマニア1340), 1045(レマニア5100)など,計117種類のキャリバーがパーツリストと共に掲載されている.
Illustrated Manual of Americal Watch Movements

1952年に出版された,古のアメリカ懐中時計のムーブメントのパーツリスト.掲載されているメーカーは,ブローバ(これは互換表),エルジン,ハミルトン,ハワード,イリノイ,サウスベンド,ウォルサム.主ゼンマイやリューズの一覧も掲載されている.209ページ.
BESTFIT - The Complete Swiss Material Guide Book

アメリカ向けのキャリバーリスト.本当にリストになっていて,300ページのうち,最初の140ページは,キャリバー番号,サイズ,互換キャリバー,パーツ番号などの番号表となっている.次の40ページがキャリバー同定のための図(かんぬき,おしどり,かんぬき押さえの形状)一覧,次の20ページがクロノグラフのパーツリストなど,残りが互換表と広告となっている.1952年版.なお, BESTFIT #111 は有名であるが,これはその初版(#100)にあたる.
BESTFIT #111 Encyclopedia of Watch Material

ムーブメントの百科事典と銘打たれた,有名な BESTFIT #111.Part 1 と Part 2 の2冊から成り,Part 1 が560ページ,Part 2 が279ページ.スイス製だけでなく,フランス製,ドイツ製,イタリア製,および日本製のムーブメントの情報も入っている.上のBESTFITと同様,イラストはそれほど多くなく,リストが大半を占める.この本は,今(2006年8月)ならば Frei&Borel (TZ Tool Shop) から入手することが可能.

洋書

ここで紹介しているものは,海外で出版された本です.特に昔のムーブメントに関する情報は,圧倒的に洋書の方が情報が豊富です.もちろん外国語で執筆されていますが,写真・絵だけでも十分楽しめます.

Chronograph Wristwatches: To Stop Time

クロノスイスの総帥であるGerd-R. Lang氏とReinhard Meis氏による「クロノグラフのバイブル」とも言うべき著作.古今東西のクロノグラフの画像満載で,巻頭にはクロノグラフの解説が,巻末には主要なクロノグラフムーブメントのキャリバーリストと写真が掲載されており,資料的な価値も非常に高い.英語.約250ページ.
Der Armbandwecker: Die Geschichte einer Unterschatzen Komplikation

上のChronograph Wristwatchesがクロノグラフのバイブルならば,こちらは「アラームウォッチのバイブル」とも言うべきM. P. Horlbeck氏の著作.さまざまなアラームウォッチの画像の他に,ムーブメントの画像が詳細なスペックと共に掲載されている.新しいものではFortis 2001,さらにはセイコー,シチズンの機械式アラームやPoljotまで掲載されている.巻末には50-60年代のメーカー名,モデル名,搭載しているムーブメントの一覧表付き.ドイツ語.約230ページ.
Russian Wristwatches

ロシア製の時計をふんだんに紹介している書籍.96ページと薄い割には,腕時計が60ページ以上に渡って,2ページごとに20個ずつ紹介されている.圧巻は裏表紙にもなっている,20個のロシア製腕時計の裏蓋を開けた写真.さらに,後半では,懐中時計,デッキクロック,マリン・クロノメーターも紹介されている.ロシア時計が好きな方は必見.英語.
Complete Price Guide to Watches

アメリカで現在も出版が続いている書籍で,これは1999年版.1000ページ以上もあり,最初の600ページ近くは懐中時計で,そのムーブメント情報やシリアル番号は資料的価値が高い.腕時計も,ウォルサム,エルジン,ハミルトンを始めとするアメリカン・ウォッチとロンジン,モバード,オメガ,パテック,ロレックスのムーブメントの図解がある.ただし,価格はあんまり当てにはならない.

和書

ここで紹介しているものは,日本で出版された本です.なお,これ以外の本が日本でも数多く出版されていますが,私が所有していて,なおかつ,有益な情報が豊富だと「独断で」判断した本を紹介しています.

基礎時計読本(改訂増補版)

1967年出版.こちらは1997年の復刻版.時計の理論書であるが,内容はなかなか素晴らしい.時計のメカニズムに興味を持ったならば,一度は目を通してみると面白いと思う.前半は時計の歴史,後半は時計のメカニズムとなっていて,特に後半は,輪列や歯車の歯の数の計算,調速理論など,本当に深い内容になっている.約480ページ.
機械式時計解体新書

2001年出版.上記基礎時計読本を現代風にアレンジした感じの本書.メカニズムに関しても詳細な図解が入っており,非常に分かりやすい.この本を読んで時計のメカニズムに関心を持ったら,基礎時計読本を読んでみても面白いかも?約190ページ.
腕時計雑学ノート

2000年出版.この本は,サブタイトル「文字盤の裏側にあるのはムーブメントだけじゃない」にあるように,ムーブメント以外の時計の要素に着目した本.時計の歴史,基礎知識がよく分かる.特に,後半にある,著者の独自の視点から選ばれた各メーカーの起源とそのブランド論がとても面白い.約300ページ.
ヴィンテージウォッチ 7th

2002年頃まで日経BPから出版されていたヴィンテージウォッチ
の第7巻.2001年出版.特にジャッケ・エトアールとダービー&シャルデンブランへの取材,この当時販売されていたオールドストック・ムーブメント搭載の時計カタログ,エボーシュS.A.の歴史と,非常に内容が充実している28ページの「魅惑のオールドストック・ムーブメント」の記事が素晴らしい.さらに,ショパール,パテック・フィリップ,IWC,パルミジャーニ・フルーリエ,エベラールのロングパワーリザーブのムーブメントを詳細に解説した20ページの「それぞれのロングパワーリザーブ」の記事も素晴らしい.残念ながら,現在は廃刊.約170ページ.
ムーブメントブック

2004年出版.これほどの情報が一つの雑誌に掲載されるとは,時代の移り変わりを感じます...32ページに渡る現行ETA製ムーブメント一覧とそのオイルチャートは圧巻.さらに,エボーシュS.A.のムーブメントのカタログ,そして,マニュファクチュールのアンティークおよび現行ムーブメントもふんだんに掲載されている.
約130ページ.
オンリー・アンティークス

2003年出版.文字通り,アンティークウォッチ専門店であるケアーズでこれまでに扱った時計の数々が紹介されている.アンティークウォッチについて知りたければ,おそらくこれが一番.あんまり見かけない時計も掲載されている.オールカラーというのも素晴らしい.ただし,掲載は高級機種に限られているため,エボーシュS.A.の情報はほとんどない.
約320ページ.
機械式時計の名品

2001年出版.栗ア賢一氏が氏のいつもの主張どおり,ムーブメントの観点から厳選した,アンティークの名品の紹介.巻末にはロレックス,ジャガー・ルクルト,IWC,パテック・フィリップ,オメガのムーブメントの変遷と私見によるムーブメントのランクが付いている.
良くも悪くも氏の主張がよく分かる本.意外なことに技術的な記述はあまり多くない.約190ページ.
国産時計博物館

1997年出版.セイコー,シチズン,オリエントを中心とする黎明期から1970年代までの国産時計が,文字盤,裏蓋,ムーブメントをセットにした画像で紹介している.また,今は無きリコーや黎明期の国産時計メーカーなども紹介されており,国産時計に関する資料的な価値も高い.
ほぼオールカラー.約200ページ.
バーゼル時計年鑑

1997年出版.1972年から1997年の25年間にわたってバーゼルフェアで発表された時計が700ページ以上にわたって掲載されている.この25年間の時計の歴史を知る上でとても資料的価値が高い.見開き2ページごとに時計が6−12個ほど紹介されていて,それぞれの時計に対する英語の説明文とその日本語訳が書かれている
.日本語の訳はあまりよくない.
The Seiko Book

1999年出版.文字通り,セイコーの歴史が機械式・クォーツ・デザインなどの面から詳しく解説されている.同じグッズプレスの「世界の本格腕時計大鑑」で半連載されていたセイコーの記事をまとめたものだと思われる.インタビュー記事も多く,なかなか面白い.約200ページ.
Best Buy 腕時計 Ranking

2003年出版.業界,正規販売代理店のみならず,webによる一般の投票を元に,さまざまなカテゴリーにおいて「Best Buy」な時計を紹介した画期的な本.一般の投票に際して得られたコメントまでも掲載されている.2004年にも続編が出版されたが,こちらはコメントがない・誤植が多いなど,個人的にはあんまりお薦めできない.約130ページ.