Others 1 - Transparent Caseback -

ここでは,1990年代以降に製造された時計のうち,シースルーバックのものを紹介しています.

(2004/1/7, 2004/1/3, 2005/2/7, 2006/7/11, 2007/4/28, 2007/5/8, 2007/6/24, 2007/9/17, 2008/6/7)


Santo Joannes / Automatic (セント・ジョイナス / オートマチック)
Ref. 3173
GPケース(真鍮製)/革ベルト/径32mm/厚さ9mm/自動巻き

2003年に購入しました.

セント・ジョイナスは国産メーカーです.ロレックスのサブマリナー似のダイバーウォッチがおそらく一番有名でしょう.クォーツも結構あります.その中に,スイス製機械式ムーブメントを搭載し,デザインが古典的なシリーズがあります.

真鍮に金メッキをしたケースで,ラグもティアドロップタイプとなかなか古典的な感じです.文字盤は金色で金のアップライトインデックス+金のバトン針となっています.中三針日付付きです.ただし,ケース・針・文字盤共に安っぽいです(^^)...まぁ,価格が価格でしたから,この辺はしょうがないかなぁ...

セント・ジョイナスのこのシリーズは,通常はETA2824-2を搭載しているのですが,この時計は何とロンダ製のオールドストックムーブメントを搭載しています.ロンダは今となってはクォーツムーブメントの製造メーカーですが,70年代には機械式も出していたらしく,この Cal. 2538 もその一つです.

このムーブメントを搭載した時計には,他にアリスト(Aristo)の「Award 2003」という時計がありました.ただ,こちらはケースサイズが40mm超と大きく,その中に小さなムーブメントが入っている感じがあんまり好きではありませんでした.それで購入を悩んでいるときにこの時計を見つけ,すかさず購入したという経緯があります.ケースサイズがセント・ジョイナスの方が断然好みの上,価格もセント・ジョイナスらしく破格でしたし...

ロンダ2538の売りは,何と言ってもマイクロローターの自動巻という点です.マイクロローターといえば,ユニバーサル・ジュネーヴが50年代に開発したCal.215-9,69,2-66,ビューレンのCal.1000,1280,1320,それからクロノマチックなどが有名です.現行時計であれば,パテック・フィリップのCal.240やショパールのL.U.C.シリーズの自動巻といった高級時計に採用されるだけの,あんまり見かけないムーブメントです.なお,マイクロローターについては,ウォッチ・ア・ゴーゴーNo.37に詳しい解説があります.

ロンダ2538の場合,機械の中にローターを埋め込んだ構造ではないので,マイクロローターの割には厚く,時計の厚さ自体は9mmあります(ただし,風防がドーム型でこれが2mmほどありますが).6振動,22石です.一応,ローターとブリッジはペルラージュが施されています.ただ,銅色の歯車やセンターセコンド用の薄い受けなど,パーツが無骨な感じは否めません.

また,マイクロローターのためローターの径が小さい上,巻き上げも一方向のため,一日腕にしていても,次の日まで動いていることが少ないくらい,巻き上げ効率は悪いです.また,テンプも小さいので,テンプの動きもあんまり面白くありません.

ですが,やっぱりマイクロローターは見た目が面白いです.

マイクロローターのロンダ2538を搭載していることといい,文字盤デザインといい,この時計は「プアマンズ・パテック」の雰囲気があります(^^).パテックのカラトラバの価格の1/50以下でこの時計が手に入ったのですから,なかなかのものだと思っています.(2004/1/7)


Pronto (プロント)
Ref. 15-0052-002
SSケース/革ベルト/縦39mm/横33mm/厚さ13mm/自動巻き

日本には,瑞穂商事が金子時計店へ輸入サンプルを革ベルトとSSブレス1本ずつ5モデル,合計10本を入荷しただけという,日本ではかなりレアな時計です.ただし,香港などでは普通に売られているそうです.2007年に入手しました.

革ベルトのRef. 15-0052のモデルバリエーションは,黒文字盤+銀インデックス部の001,この時計に該当する銀文字盤+銀インデックス部の002,RG文字盤+銀インデックス部の003,銀文字盤+YGインデックス部の004,銀文字盤+RGインデックス部の005です.これ以外にも,SSブレスのRef.15-0051,アラビア数字インデックスが全数字とも大きくてフランク・ミューラーを意識したようなRef.15-0061(革ベルト)とRef.15-0062(SSブレス)もあります.ちなみに,公式HPはこちらになります.

小振りな時計が好きな私がこの時計を入手した一番の理由は文字盤の美しさです(^^).コート・ドジュネーブの文字盤が本当に美しい!通常,コート・ド・ジュネーブはムーブメントの受けに施されるので,時計を裏返せないと楽しめませんが,それが腕に着けたままで楽しめるところが一番の売りです.

12時位置に英語曜日表示,6時位置にコラムデイトと呼ばれる大きな窓の日付表示,それらを含んだインデックス部分には,コート・ド・ジュネーブとは異なり線状の模様が入っています.大きさが異なるアラビア数字インデックスも悪くありません.ベゼルやケースサイドがポリッシュなのでかなり傷が目立ちますが,作り自身は悪くありません.

ムーブメントはETA2824-2にフル表示曜日を追加したETA2834-2ですが,仕上げは皆無です(^^;;;).そもそも,この時計はムーブメントではなく文字盤を楽しむ生粋の側時計ですから,これはこれでよいと思っています(^^).

この時計のもう一つの利点は,とても安いことです(^^).時計の値上がりが激しい昨今,この時計が4万円近くで入手できることが一番ありがたいです.実は,かなり気に入っていて,もう一本手に入れてもいいかなぁ,とも思っています.ただし,SSブレスは既に売り切れましたし,銀のコート・ド・ジュネーブはこの002で十分ですから,私の狙いは003です(^^).(2007/9/17)


Grace Fabliau / College (Kaneko / 110th Anniversary)
(グレース・ファブリオ / カレッジ (金子時計店 / 110周年記念モデル)
SSケース/SSブレス/径33mm/厚さ10mm/自動巻き

いつもお世話になっている金子時計店の20本限定の創業110周年記念モデルです.2007年に入手しました.

時計自身は,グレース・ファブリオのカレッジで,9時位置に「110th Anniversay Kaneko」の刻印,4時位置にシリアル番号「02/20」が入っています.当初,2番が無かったので20番を選んでいましたが,注文中に2番が見つかったため,そちらに変更しました.

今となってはかなり小振りなケースに水色文字盤はなかなか清々しい印象です.時分針はベンツ針で,夜光入りです.秒針も円形の飾りが付いており,その部分も夜光入りです.正直,針はもう少し長くして欲しかったです.

アラビア数字インデックスにも夜光が入っていますが,こちらはあんまり光りません.リューズはねじ込み式です.それで5気圧防水なのかなぁ?

ケースデザインはロレックスのバブルバックを意識しているのかなぁ?風防もドーム状で,日付にサイクロプスレンズも付いて,なかなかの雰囲気だと思います.ブレスは巻ブレスっぽい感じです.まぁ,時計自身が軽いので,巻ブレスの方が無垢ブレスよりも時計の重量バランスという意味ではよいと思います.

ムーブメントは自動巻のETA2824-2.まぁ,ごくごく普通のムーブメントです.

下のメモリアルに比べると,時計としては非常に使いやすいです.まぁ,もともとの時計であるカレッジのできがなかなかよかったということもあるでしょうけど...(2008/6/7)


Watch People (ウォッチ・ピープル)
SSケース/革ベルト/径34mm/厚さ8mm/手巻き

クォーツで質感が高い時計を作っていたドイツのメーカーであるウォッチ・ピープルですが,最近はゼン(Xen)という親会社の名称で時計を製造しています.この時計は,そのウォッチ・ピープルの手巻時計です.2007年に入手しました.

この時計は,90年代にダービー&シャルデンブラン,今ではアンギュラー・モーメンタムやアスカニアの代理店をしているデニックス(オンラインショップはSCHATZですが,こちらではまだこの時計は販売されていないようです)が,ウォッチ・ピープルとデザイナーのクラウス・ボッタ(Klaus Botta)氏に依頼して,1000本限定で作った時計だとのことです.この時計以外に,チタンケース/スケルトン針/白と金メッキのツートン文字盤とチタンケース/バトン針/グレー文字盤/日付入り(イコンという名称)をあわせて1000本限定で製造されたとのことです.

この時計は何といってもそのデザインが抜群です.白とグレーのツートン文字盤に,スケルトンの時分針と赤い秒針で,赤い秒針の尻尾(軸)は円形になっています.ツートン文字盤の内側がグレーでそこに15分おきの時インデックス,外側が白でそこに0.5おきに分・秒インデックスが刻印されています.時針はきっちりと時インデックスに載るようになっていて,しかも,正時には時針の三角部分に時インデックスの数字が入る,というところまで配慮されています.一方,分針はインデックスまで伸びてはいませんが,秒針はきちんとインデックスに載っています.

文字盤の数字の配置もいわゆるミリタリー系のように,分(秒)は5おきに入っている上,時針と分針の形状も異なるため,視認性は抜群です.ケースはヘアライン仕上げで,ベゼル部分に段差が入っています.ラグはストレートですが,これもこの時計のデザインに合っていると思います.

ムーブメントはETA2801-2です.17石・8振動・センターセコンドの手巻ムーブメントです.要するに,ETA2824から自動巻機構を取っ払ったムーブメントです.ですので,テンプも大きめですし,小さいケース径と相まって,ムーブメントが裏側に一杯に広がっている様子が分かると思います.

ちょっと残念だったのは,シースルーバックのガラスに青い色が入っていたことです.あと,ムーブメントの仕上げは皆無です.そのことを隠すため,というか,仕上げ無しムーブメントを演出するためのガラスの青色なのかもしれません.

なお,裏蓋に「WATCHPEOPLE」と「KLAUS BOTTA DESIGN」の刻印が入っています.クラウス・ボッタ氏のHPはこちらにあります.ここの「zum Uhren-Shop」に氏のデザインしたデザインがあり,こちらにもイコンはあります.

ETA2801を搭載した時計は前々から欲しかったのですが,なかなか手を出しあぐねていました.例えば,ざっと考えていたのは,以下のような時計です.

・ユンハンスのマックス・ビル(手巻) : デザインとサイズは好きなのですが,シースルーバックでは無く,最近はかなり高価.
・ラコ : フリーガー系のデザインも興味深く,しかもシースルーバックでムーブメントの仕上げも良さそうでしたが,ちょっと高価なこととかなり厚い.
・マイスタージンガーの1Z : デザインや一本針という機能,それにムーブメントの仕上げなども良いのですが,これでもまだこのムーブメントにしては時計が厚いこと,それに何より現在日本に入ってきていないようなので,海外から取り寄せることになる.
・アリストのリトル・ブラック: 価格とサイズはよかったのですが,デザインが個人的には今一つなこととシースルーバックでない,それから,こちらも海外から取り寄せになりそう.

そういう時に,この時計を見つけました.この時計はデザインが素晴らしい上,大きさ・厚さもムーブメントに合わせて小さく薄いです.しかも,コストパフォーマンスも絶大です!欠点と言えば,リューズが小さくて巻きづらいこと,くらいでしょうか...ただ,この時計に大きめのリューズも合わないかなぁ?という気もします.

この手のデザインウォッチというのは初めて所有することになったのですが,この時計は非常にワクワクする時計です!私は,古典的なデザインであれば,文字盤や風防がドーム状にカーブしていたり針先が曲げてあったりした方が好みです.一方,この時計の文字盤・風防もフラットで,針も先がピシッと伸びていまが,このようなモダンなデザインでは,そんなことは欠点ではなく魅力に感じるのです.また,通常,腕にはめた時計を見た場合は自己満足に浸ることがが多いのですが,この時計の場合は,奥ゆかしいユーモラスさというか,そのデザインに思わず微笑んでしまいます(^^).(2007/4/28)


GWに部屋を片付けていたら,昔使っていた巻きブレスが出てきたので,この時計に付けてみました.ブレスの両端がポリッシュ仕上げなこと,それからブレスの中央部のヘアライン仕上げの色よりもケースの方が濃いことに多少違和感がある感じですが,デザイン上は弓管がなくてもそれほど違和感はありません.これで夏も汗を気にせずに使えるようになりました(^^).

ただ,この時計に似合うブレスとなると,理想的にはメッシュブレスだと思います.それから,ナイロンベルトも案外似合いそうな気がします.その当たりは後日楽しむことにして,しばらくはこれで楽しもうと思います(^^).(2007/5/8)


ブレスを物色した結果,こちらに行き着きました.これはウォッチ・ピープルの角型クォーツ「Mezzo」に付いていたブレスです.

ブレスと本体の色合いがかなり良くなったと自画自賛しています(^^).さらに,バックルには「Watch People」と刻印されています.この時計に最初から付いていたブレス,と言われても遜色が無いと思っています(^^)!

ただ,ブレス単体だとスイスからの取り寄せになったことと,ブレス付きの「Mezzo」とブレス単体の価格差が5,000円だったので,結局,ブレス付きの「Mezzo」を購入し,そのブレスをこちらの時計に換装してもらいました(^^;;;)...余った「Mezzo」の本体には革ベルトを付けて使えるようにしようとは思っているのですが,革ベルトを装着したとして果たして使うようになるか多少疑問です(^^;;;)...(2007/6/24)


実はこの時計,10年以上前の1996年にはすでに販売されていたことを最近知りました.輸入元は同じくデニックスです.そのときの価格が何と7万円?!この価格ではさすがに売れないでしょう(^^;;;)...ですので,今はその当時の大量在庫品をSCHATZで売っているのだと思います.(2007/9/17)


Grace Fabliau / Asymmetric II (グレース・ファブリオ / アシンメトリックII)
Ref. ACM2 M/GY3/B
パラジウムメッキケース(真鍮製)/革ベルト/縦26mm/横21mm/厚さ6mm/手巻き

ボール・ウォッチやアラン・シルベスタインの輸入代理店であるモントレ・ソルマーレ(旧大洋商会)の自社ブランド「グレース・ファブリオ」の時計で,すでに生産終了したイタリア製のアシンメトリックIIです.2006年に購入しました.

モチーフは,有名なカルティエのアシンメトリックだと思います.この時計と同じように,グレース・ファブリオもベルトが斜めに切られています.この形状のベルトは入手しがたいと思っていたら,サービスでスペアベルトが付いてきました(^^).

文字盤や風防も長方形ではなく平行四辺形になっています.12時,3時,6時,9時が二重,それ以外が一重のバーインデックスとなっていて,内側は円形で分インデックスが付いています.銀のアルファ型時分針とグレーの文字盤で,しかも文字盤が光を反射するので,視認性はあんまりよくありませんが,文字盤デザインと相まって,なかなかシックだと思います.

グレース・ファブリオのアシンメトリックは,真ん中がシースルーになったものやもう少しポップな文字盤などがありました.この時計と同じ文字盤でも,この色以外に黒もありました.ですが,視認性は犠牲になるものの黒よりもこのグレーの方が雰囲気があると感じたのでこちらを選びました.

とっても小さな時計で,それほど細腕ではないけど小さな時計好きな私が許容できるぎりぎりのサイズ,という感じです.

ムーブメントは,今はもう製造されていない,ETA2512です.17石で6振動の手巻です.径が7 3/4リーニュ(17.2mm)で厚さ2.9mmですから,もともとはレディース用のムーブメントと思います.

グレース・ファブリオは,デザインは日本,時計の組み立てはイタリア,フランス,スイスなどで行い,90年代は魅力的でかなり手頃な価格の時計を出していました.2001年当たりから,ヴィーナス179,ヴィーナス211,ユニタス176などのNOSムーブメントを搭載した時計も作り始めました.前二つはすでに完売したようですが,ユニタス176搭載の時計はまだ入手することができます.この時計は,私がユニタス好きと言うこともあり最も気になっている時計の一つです.ですが,文字盤がないのが個人的には今一つ...地板をそのまま見せるのもよいですが,文字盤をしっかりと作りこんで欲しかったです.それから,ユニタスを金無垢ケースに入れるのも「なんだかなぁ」という感じです.

レギュラー品では,MFSシリーズと角型自動巻クロノグラフのBCシリーズがありますが,どちらもスイスのメーカーに比べるとかなり手頃な価格です.特に,BC3シリーズのビックデイト搭載のスケルトンクロノグラフはなかなか面白いと思います.

この時計,使ってみて時間を常に1時間5分先と考えてしまう,ということに気づきました(^^).でも,そういう部分も含めて,この時計は本当に楽しいと思います.難点といえば,斜めにベルトが切ってあるせいか,時計を腕に着けると,ラグの部分が浮きがちになることでしょうか...もう少しソフトなベルトだとしっかり手に付くような感じになると思います.(2006年7月11日)


Kaneko / Memorial (金子時計店 / メモリアル)
SSケース/革ベルト/縦36mm/横29mm/厚さ12mm/手巻き

懇意にしている金子時計店から2004年末に販売された,白・黒各50本限定のオリジナルウォッチ.御主人の金子さんが金子時計店に戻られてからの25周年を記念して製造・販売された時計です.ちなみに製造元はプリンスのようです.2005年初めに入手しました.

白・黒ともに1から50までのシリアル番号が刻印されています.こちらの分は,どちらも 02/50 です.いや,別に2という数字が好きなわけではないのですが,1は金子さん用と聞き,それに,エポス,パリョートと2が続いたので,それでは2を,とこれらを注文しました(^^).

文字盤は中央部が艶消し,外周部が艶有りとなっています.ですので,光の加減でツートンに見えます.文字盤の中心部と外周部はレイルウェイインデックスで区切られています.針は白文字盤は青で黒文字盤が白のバトン針で,インデックスはアラビア数字です.針が比較的長めなのは良いと思います.

ケースはいわゆるレベルソと同じく反転ケースです.ですので,文字盤デザイン・ケース形状と共に,レベルソのフェイクのような感じです(^^;;;).ただ,オリジナルには中三針は存在しないので,そういう意味ではオリジナリティがあるかもしれません(ちょっと苦しいですが(^^;;;)...).ケースは大きい割には底面がフラットなので,フィット感はあんまりよくありません.

リューズが小さいので巻きにくいのが難点ですが,リューズの形状や飾り石はなかなかだと思います.また,ベルトはなかなかしっかりしたものが付いています.

ムーブメントは手巻8振動のETA2660です.ETAのホールマークと2660の刻印をムーブメントに見つけることができます.仕上げはほぼ皆無です.

私は現行ETAの手巻中三針ムーブメントは初めてでしたが,まぁ,可もなく不可もなく,ごく普通のムーブメントです.ただ,このサイズのムーブメントだと,メンズウォッチに入っていることはかなり稀なので,このムーブメントが楽しめるという意味では入手できて良かったです(^^).

時計自身のできは決して悪くはないとは思うのですが,正直なところ,このデザインはできればやめて欲しかったです.角型現行時計の代名詞であるレベルソとケースの機構も似ているのですから,文字盤デザインのアプローチはやっぱり全然違ったものにして欲しかったです.例えば,角型のレイルウェイインデックスを丸型にし,アラビア数字の配置を少し変更するだけで,ずいぶんと違った感じになると思います.ローマ数字,もしくは,アップライトバーインデックスにしてもよかったと思います.針もレベルソそっくりなので,これもドルフィンタイプにするなど,アプローチを変えても面白かったと思います.ちなみに,ドレッシーなのは白文字盤ですが,フェイク度は黒文字盤の方が少ないと思います.

ケースサイズも私には少し大きく感じます.それから,縦横比も,もう少し縦長にして幅を抑えてもよかったと思います.実際に回転部が下の台座から少しはみ出ていますし,ムーブメントも小さいので可能だと思います.ラグの部分の造形も,できればケースと段にならないような凝った形状だと良かったのですが...

価格が価格だっただけに,時計自身のできについては文句はないのですが,このどのように言い訳してもレベルソのフェイクに見えるところが私には決定的にだめです(^^;;;).でも,一時計店のオリジナルウォッチとして,すべてを売らなければならない,という制約があることを考えると,このようなアプローチでも仕方がないのかもしれません...

しかも,自分がデザインした時計を作ることができるということは,やっぱりかなりうらやましいです(^^).次の機会がもしあるのであれば,そして,私も口を出してよいのであれば,いろいろとアイディアはあるのでよろしくお願いします,金子さん(^^).(2005/02/07)


Jacques du Manoir (ジャッケ・ドゥ・マノール)
GPケース/ケース径40mm/厚さ11mm/手巻き

まだ機械式時計に開眼する1997年に,スイス旅行の際にお土産品として購入した Jacques du Manoir (ジャッケ・ドゥ・マノールと発音するのかなぁ?)の懐中時計です.このメーカーについては私はぜんぜん知りません.ただ,デザインが面白く,しかも比較的安かったので購入しました.

文字盤は中の部分がスケルトン仕様で外周にローマ数字のインデックスが付いています.針は飾り針です.ですので,お世辞にも視認性が高いとはいえません.

一応,表からはガンギ車以外に,リューズの巻き真に付いたキチ車やツヅミ車も見えます.5時・7時・8時に開いている穴はネジ留めの穴で,石が入っているわけではありません.

ムーブメントは Semag ES 95 です.Semag社は現在もムーブメントを製造しているようですが,詳細については私は知りません.17石,6振動のセンターセコンド手巻時計です.

表と裏のケース外周に彫りが入っていて,しかも裏はその彫りを風防で覆っています.ネジ穴が空きっぱなしですが,なじみの時計屋さんに確認したところ,これはそもそもそういう仕様のようだとのことでした.

一丁前に,受けにはペルラージュっぽい模様が入っています.受けの形は,センターセコンド用の輪列が真ん中に埋められたタイプです.

現行の懐中時計はほとんど Unitas 6497 を搭載していてあの価格なのを考えると,この時計のムーブメント ES 95 はもっと廉価なのかもしれません.見た目も高級感はありませんし...(2004/1/3)