Revue Thommen as 'Manufacturer'

(2004/12/26)

レビュー・トーメンのページ
の社史にも書いたように,2001年には,レビュー・トーメンの代名詞だったクリケットはバルカン社にそっくりそのまま移行しました.ですが,それでもレビュー・トーメンの時計はまだまだ魅力的だと思います.それは,基本となる自社製ムーブメントを今でも生産しているからです.

例えば,L.U.C. ムーブメントを開発したショパールはマニュファクチュール(自社一貫生産)である,という雑誌の記事を見かけます.マニュファクチュールの定義はさておき,現在のショパールの場合は,「自社製ムーブメントを持つ」ということでしょう.それならば,レビュー・トーメンもマニュファクチュールと呼んで然るべきだと私は思います.

レビュー・トーメンには,レビュー・トーメンのページで紹介したオールド自社製ムーブメントである GT 81 (Revue 81)GT 82 (MSR X1) だけでなく,GT 12系と GT 44系という大きく2系統の現行の自社製ムーブメントがあります.どちらも5.5振動という,今ではめったに見かけなくなった振動数です.なお,レビュー・トーメンの自社製ムーブメントは,以前は MSR と呼称していましたが,昨年(2003年)に GT に統一されたようです.

GT 12 系は1965年開発の小型手巻きムーブメントです.受けの形状は,MSR X1 を小型化したような感じです.GT 12系は,輪列はスモールセコンドの典型的な形です,丸穴車は2本ビス留め,受けも曲線的で美しく,ムーブメントの径の割には大きめのテンプを使っています.レビュー・トーメンのオープン・ハート・レディースは,レディース機械式手巻時計で,私が真っ先に薦める時計です(^^).

一方,GT 44系は,センターセコンド用として最初から開発されたムーブメントです.輪列のレイアウトは,ETA社製の自動巻きと大差はありませんが,より曲線的です. GT 44 の丸穴車は3本ビス留めです.また,GT 44 ベースの自動巻き機構は両方向の切り替え車式です.ETA 2824 や 2892 と外観を比較した場合,GT 製はテンプの付き方が逆向きです.

しかも,レビュー・トーメンの場合,自社製ムーブメントを搭載した時計の方がETA社製ムーブメントを搭載した時計よりもだいたい安価です.本来,自社製ムーブメントはムーブメントの製造コストを下げることが目的でしょうから,そういう意味では,最も本来の目的通りの時計作りをしているメーカーだと思います.何より,「自社製ムーブメント」を声高々に宣言して時計価格の付加価値にしていないところが,とても好感が持てます(^^).

ただ,2001年に経営が変わったのに伴い,経営方針が変わったようで,レビュー・トーメンもどんどん価格を上げてきそうな勢いです.以前のような,時計計器メーカーの余技として余裕を持って時計を作っていた頃が懐かしくもありますが,これも時代の流れなのでしょう...

さらに,2003年に社長が交代したのを機に,ようやくレビュー・トーメン自身も自社ムーブメントを再発見したようです.そして,HPに公式の詳細情報が掲載されました.以下の表はそれをまとめたものです.画像は公式HPのものを利用しています.(2004/12/25)

画像 GT winding サイズ(ligne) 径(mm) 厚さ(mm) BPS 石数 持続時間 開発年 機能 搭載モデル(推測)
11 HW 8 3/4 19.4 3.2 5.5 17 42h 1965 2 -
12 HW 8 3/4 19.4 3.2 5.5 17 42h 1965 3SS GT 1885 Classics Ladies
14 HW 8 3/4 19.4 3.2 5.5 17 42h 1965 2sk Open Heart Ladies
44 HW 11 1/2 25.6 3.6 5.5 17 42h 1968 3CSsk Open Heart Mens,Open Heart Pocket,Cricket Club
54 AW 11 1/2 25.6 5.0 5.5 22 42h 1968 3CSsk Open Heart Mens,Trilogy Open Heart
56 AW 11 1/2 25.6 5.9 5.5 27 42h 1996 3CSPD Trilogy Automatic,Airspeed Limited Edition
58 AW 11 1/2 25.6 5.0 5.5 22 42h 2004 3CSD -
82 HW 13 29 4.25 5 17 40h 1952 3SS GT 1885 Classics Mens,Revue Sports 30s,Revue Sports 50s

機能の欄は以下の通りです.

2 2針(時・分)
3 3針(時・分・秒)
SS スモールセコンド
CS センターセコンド
sk スケルトン
PD ポインターデイト
D デイト(窓式)