Antiques 2 - Cocktail Watches -
アンティーク・シースルーバックにはなぜかカクテルウォッチに該当するものが多く,そのような時計が手元に集まってきました(^^;;;).ここではそのような時計を紹介しています.
(2004/11/11, 2005/2/9)
Ernest Borel / Cocktail (エルネスト・ボレル / カクテル)
GPケース/ケース径24mm/厚さ10mm/手巻き
エルネスト・ボレル社は,1856年にラ・ショー・ド・フォンで創立したボレル&クルボワージェ社を前身としています.そして,1886年には国際的な博覧会で賞を受賞するまでに腕を上げていきました.1958年になると,経営者は三代目のジェーン・ルイス・ボレルとなり,この年のニューシャテル天文台の時計コンクール第二部門で,クロノグラフが第一位を獲得したこともあります.
ちなみに,会社自体は現在も存在していて,HPはここにありますが,歴史を見れば分かるとおり,クォーツショックで一時期は休業していた印象です.というのも,クォーツショックの前と後では,製造している時計がぜんぜん異なるからです.
さて,このボレルで最も目にする時計が,いわゆる「カクテルウォッチ」です.現在では,オーガスト・レイモンドが「カクテル」というモデル名で出していて,すでに私も持っています.でも,アンティークに目を移せば,カクテルといえばボレルです.
その中でも,この時計は,いわゆる「ペンダントウォッチ」です.ペンダントの割にはケースは厚いのですが,それはご愛嬌ということで(^^;;;)...文字盤のリューズ側にはメーカー名が,鎖側には「MODELE
DEPOSE Cocktail SWISS MADE」と入っています.また,リューズにはボレルのブランドマークと思しきものが刻印されています.
風防はプラスチックで,その中に球状のパーツを入れることで,エレガントな顔つきとなっています.また,ディスク秒針の下と文字盤の縁は,鏡面仕上げの金メッキとなっており,特に,球状のパーツの下がディスク秒針の紺色と金色が交互に入れ替わるため,光の加減によってさまざまな表情を作り出します.
横から見ると,ディスク秒針部が円盤のように浮かび上がっています.風防も厚さが2mm以上あり,山なりのこんもりとした形状になっています.
ボレルのカクテルウォッチは,なぜかシースルーバックのものが多く,この時計もシースルーバックになっています.
レディース・ボーイズサイズのボレルのカクテルウォッチの場合,ムーブメントとしては
ETA 1301 が搭載されていることが多いのですが,このムーブメントは,6振動の手巻センターセコンドのフォンテンメロン(FHF)371です.径は20mm程度で,8
3/4 リーニュに相当すると思います.スムーステンプで,耐震装置が入っていることと6振動であることから,おそらく60-70年代に製造されていたムーブメントだと思われます.
FHFの刻印は,29の場合は文字盤側に入っていて裏からは見ることができないため,すべてそのようになっているかと思っていました.ですので,FHFの刻印をテンプの下に見つけたときにはびっくりしました(^^).
メンズのボレル・カクテルウォッチでシースルーバックのものは,いつかは欲しいと思っていたのですが,今回はたまたま状態のよいペンダント・ウォッチを破格で見つけたので入手に至りました.レディースの腕時計の場合はベルトの長さの関係で腕にはめることはできませんが,ペンダントであれば,まぁ,携帯することはできるので,使用することもあるかなぁ,と(^^;;;)...こうでもしないと,レディース用のムーブメントなんて,入手もできませんし...
この時計の場合は,加えて,シースルーバックという点が購入動機です.FHF製だと分かったときには,エボーシュ・マニア(^^;;;)の私は小躍りしてしまいました.
この時計は,日ごろは私の時計に文句ばかり言う家内には,「かわいい!」と抜群の評判でした(^^).さらに,実は私は高校生のころ,指輪時計(リングウォッチ)を愛用していた時期がありました.ですので,このサイズの時計からは,そのころの思い出が浮かび上がります.
(2004/11/11)
Chandler / Starlike (チャンドラー / スターライク)
GPケース/縦27mm/横31mm/厚さ9mm/手巻き
1970年代のデッドストックと言うことで購入した,チャンドラーのスターライクです.いわゆるカクテルウォッチです.私自身,全然知らないメーカーでした.
なお,ベルトはかなり劣化していたのではずしています.ベルト幅は16mmです.
ケースは横長のオバールで,サイズ的にもレディースウォッチだと思います.裏は両端が削られています.赤い針に,5分おきに太くなっている金色のバーインデックスです.
カクテルの部分は上のボレルやオーガスト・レイモンドの「カクテル」の模様とは少し異なります.カクテル部分は鏡面に青地で模様が描かれています.
ムーブメントは,センターセコンド用の手巻のフルーリエ(FEF)製の Cal.6670
です.テンプの下に,FEFのホールマークとキャリバー番号が刻印されていました.17石5振動,径は20mm程度で,8
3/4 リーニュに相当すると思います.スムーステンプで,耐震装置が入っています.また,ガンギ車の軸受け石にはシャトンが入っています.受けの刻印は「L..
JEANBOURQUIN & CIE」ですが,これが何を意味するのかは?です.
輪列受けには4番車がセンターに大きく位置していて,それを押さえる輪列受けが上に覆いかぶさっているような形となっています.このような構造は,ETA
1301 あたりとよく似ています.
画像を見たときには,もう少し大きいかと思っていたのですが,実物を見てあまりの小ささにちょっと驚きました.ですが,これはこれでなかなか楽しいかなぁ,と(^^;;;).特に,カクテルウォッチで文字盤が楽しめる上,シースルーバックでムーブメントも楽しめるのですから,まぁ,よしとします(^^).(2005/2/9)
Chandler / Starlike (チャンドラー / スターライク)
SSケース/ケース径30mm/厚さ10mm/自動巻き
上と同時に入手した,チャンドラーのスターライクです.こちらは自動巻きで日付付です.ただし,日付早送り機構は付いていません.こちらもベルトが劣化していたため,はずしました.こちらはベルト幅14mmです.
こちらはまるで円盤のようなラウンド形です.赤い針に,こちらはあまり太さが変わらない白色バーインデックスです.リューズはケースに埋め込まれています.
ムーブメントは自動巻の ETA 2671 です.現行の ETA 2671 は25石であるが,これは17石8振動です.緩急計もセミファインレギュレーターであるエタクロンではなく,通常の緩急調整となっています.今では,レディース中三針自動巻のムーブメントとしてよく使われています.こちらもローターに「L..
JEANBOURQUIN & CIE」という刻印が入っています.
ただ,ホールマークがテンプに隠れて見えませんでした.見た目は ETA 2671 そのものですが,もしかしたらその原型となったムーブメントなのかもしれません.
レディースのETA2671なんて,初めて入手したので,じっくり見たことも今回が初めてでした.部品の重厚感や凝縮感があり,なかなかしっかり作られているという印象です.(2005/2/9)