Antiques 3- Until 1990 -
ここでは,三針+αのアンティーク時計を紹介しています.
(2004/6/4, 2004/6/18, 2004/8/21, 2004/12/22, 2005/11/1, 2006/4/22, 2007/4/1,
2007/3/28)
Benedict (ベネディクト)
GPケース/革ベルト/ケース径32mm/厚さ10mm/手巻き
私にとっては禁断だった,トリプルカレンダームーンフェイズで,1970年代製のベネディクトです.2004年に入手しました.
あるとき無性に欲しくなって,どうせ禁忌を破るのであれば,手巻でシースルーバックなものを,と考えていたときにこの時計を見つけて入手しました.このベネディクトというブランドは,全く存在を知りませんでした.ですので,この時計を見たのもこれが初めてでした.入手後にいろいろと調べたのですが,結局分からずじまい...こんなに素晴らしい時計が70年代には作られていたことに驚きました.ちなみに,ロゴの下には「Super
De Luxe」とベタなフレーズが刻印されています.
トリプルカレンダームーンフェイズの私の一番の理想は,ムーンフェイズと同軸のスモールセコンドだったのですが,残念ながらこの時計はセンターセコンドでした.だた,このデザインはかなり素晴らしいと思います.
ケースサイドはコインエッジが入っていて,リューズは平らなタイプです.インデックスはアップライトのアラビア数字で,インデックス部にちょっとした彫り込みがあります.画像では分かりづらいかもしれませんが,インデックスの色は時分針と同じ銅色です.一方,秒針とポインターデイトは金色です.分針は短めですが一応アラビア数字の分インデックスには乗っていますし,しかも秒針がとても長いので,満足できる長さです.また,文字盤のデイト表示は青でポインターデイトの先は赤と,こちらの色のコントラストも美しいです.ムーンフェイズには顔が入っています.
2時位置が月表示,10時位置が曜日の早送りボタンです.そして,4時位置のプッシュボタンは,弱くプッシュすると日付のみ早送りされ,強くプッシュすると日付とムーンフェイズが同時に早送りされます.いやぁ,この使い方を発見するまでにかなり時間がかかってしまいました(^^;;;)...ちなみに,日付・曜日は22時から24時ごろ,ムーンフェイズは2時ごろ切り替わります.また,月表示は日付とは連動していません.
ムーブメントは,いろいろ調べたのですがなかなか分かりませんでした.ところが,偶然オンリー・アンティークスを見ていたら,ジラール・ペルゴが紹介されている51ページに AS 1221 が掲載されているのを見つけ,受けの形状がこのムーブメントと同じだったので,おそらく同系統のムーブメントだということが判明しました(^^)!Official Catalogue によると,AS 1221 は11 1/2 リーニュで,同サイズのトリプルカレンダームーブメントとして,AS
1291 がありました.残念ながら裏の様子が分からなかったので断言はできませんが,もし
AS 1221 と AS 1291 が同系列であれば,このムーブメントはAS 1291 である可能性が高いと思います.
この時計は,ムーブメントの受けにエングレービングを施し,それをシースルーバックから覗けるようになっています!当然彫りは芸術品という域まではとても達してはいませんが,70年代にこのような発想の時計が存在したことに驚きました...5振動で,チラネジ付きテンプです.センターセコンド用の輪列で,しかも分解しやすいように穴が空いています.そのおかげで,歯車がよく見えます.
これと同じムーブメントを搭載したトリプルカレンダームーンフェイズでシースルーバック仕様の1960年代アルファ製の時計を見たことがありますが,そのムーブメントは,エングレービング無し,スムーステンプ,耐震装置無しでした.ムーブメントの製造時期(上記カタログによれば,1948年にはすでに製造されていた)とエングレービングと耐震装置があることから,もしかしたら,70年代にその時代のオールドストックムーブメントをケーシングして作成された時計なのかもしれません.また,製造年代自体がもっと新しいのかもしれません.
この時計の一番の欠点は,ベルトがあまりに安っぽかったことです.まぁ,これは交換すればすむ話なので,いずれ交換しようと思っています.
この時計を買う前は, スモールセコンドのトリプルカレンダームーンフェイズで,例えば
Venus 203 のようなオールドストックを搭載したシースルーバックの時計を購入したいなぁ,と思っていたのですが,このような要求を満たす時計がほとんどなくて諦めていたところにこの時計を発見し,しかもかなりの破格だったので,センターセコンドにも関わらず狂喜して入手しました(^^).トリプルカレンダームーンフェイズは合わせるのが面倒ですが,やっぱりムーンフェイズは見ているだけで癒されます...
この時計のムーブメントを調べる際に,自分なりにアンティークのムーンフェイズ付きムーブメントについてまとめてみました.興味がある方はこちらからどうぞ.(2004/6/4)
この時計,入手した当初から「実は金無垢ではないか?」という疑惑があります.それは,時計の重みです.私自身,同サイズのGPの時計をいくつか持っていますが,明らかにこのベネディクトが一番重いのです...金子時計店の金子さんも同意見でした.ケースサイドには刻印が無かったので,もし金無垢であれば,ケース内部に刻印があると思われるので,金無垢かGPかは最初のOH時の楽しみ,ということになりました(^^).
それから,この時計用のベルトを注文しました.到着は1ヵ月後くらいです.ベルトを交換すると,どんな雰囲気に変わるのか,今から楽しみです.(2004/8/21)
新しいベルトが到着しました!茶谷製作所に作成してもらった,艶有サイドワニの黒ベルトです.早速装着しました.なかなか高級感が出たと思います.(2004/9/28)
この時計のムーブメントは,AS 1221 をベースに,トリプルカレンダー・ムーンフェイズを付加した「ヴィーナス1221」ということが判明しました!裏から見たら AS 1221 と変わらないはずです(^^).というわけで,ここの表記以外は,AS 1291 をヴィーナス1221と変更します.(2004/12/22)
Excelsior Park (エクセルシオ・パーク)
GPケース(スターリングシルバー製)/革ベルト/ケース径34mm/厚さ10mm/手巻き
エクセルシオ・パーク社は1866年にスイスのサン・ティミエで創業し,1984年にその幕を下ろしたメーカーで,自社製クロノグラフムーブメントが有名です.残念ながらこの時計は自社製クロノグラフムーブメントは搭載しておらず,簡易クロノグラフ機能が付いたムーブメントを搭載しています.製造は1970年代だそうです.2004年に入手しました.
やはり白文字盤・黒アラビア数字インデックス・ブルースチール針・赤パルスメーターは,古典的な王道デザインです.文字盤もエナメルっぽい質感で,しかも,滑らかなドーム型となっています.積算計がない分,ジャッケ・エトアールのパルスメーター・クロノグラフとはまた違った趣です.秒針の先には三角が付いていて,これがきちんとパルスメーターの刻印を指します.ブルースチールの針も太くてよい色です.風防はプラスチックです.
特筆すべきはリューズで,引き上げたときに巻き真にカバーがついていました(最後の画像参照).おそらく防水を考慮した仕様なのだと思います.ラグも可動式のちょっと変わった感じです.
簡易クロノグラフ機能は,2時位置のプッシュボタンを押している間は秒針が停止し,離すと動き出します.また,4時位置のプッシュボタンを押すと秒針がリセットされ帰零します.ですので,クロノグラフというよりも,フライバックという表現の方が近いと思います.
ムーブメントは ETA 1168 で,これをシースルーバックの裏蓋から覗くことができます.積算計が付いていない簡易クロノグラフのためか,このムーブメントを搭載した時計は,To Stop Time には「False Chronograph」として紹介されています(^^;;;).確かに使ってみた感じはクロノグラフではなく,フライバックでした.ETA
1168 は,おそらく ETA 1100 に簡易クロノグラフ機構を付加したムーブメントだと思います.ただ,現行のモジュールクロノグラフと異なり,クロノグラフ機構は文字盤側ではなく裏蓋側に付加されていますので,裏から眺めることができます.
簡易クロノグラフ(フライバック)の仕組みは単純で,秒針(4番車)と同軸に大きなハートカムを,4時位置プッシュボタンの先に小さなハートカムを入れ,プッシュボタンを押すことで小さなハートカムが大きなハートカムを動かしてリセットする仕組みです.秒針は,1秒から30秒までは逆進,31秒から59秒までは順進方向に動いてリセットされます.機構が単純なので,リセットのタッチも非常に軽くなっています.
受けにはコート・ド・ジュネーブが,地板にはペルラージュが施されていて,しかも,受け石にはシャトンリングまで入っていて,さすがはエクセルシオ・パークと思わせる上質な仕上げです.輪列受けをぶち抜いて作られた簡易クロノグラフ機構は,あまりにも人工的なので美しくはありませんが,これはこれで面白いと思います.また,4番車の同軸の大きなハートカムが回る様子もなかなかのものだと思います.5振動でチラネジ付きテンプです.ヒゲゼンマイはブルースチールです.
決して審美的なムーブメントとは思えませんが,オールドストックムーブメントが流行していて,しかもその中でもクロノグラフムーブメントがもてはやされている今となっては,かえって新鮮なムーブメントだと思います.なお,このムーブメントを搭載した時計は結構安く売られていますし,この時計もそれほど高価ではありませんでした.
一応,デッドストックを入手したのですが,残念ながら小傷も多く,ケースに変色がありました.ただ,私は傷・変色も目立たなければそれほど気になりませんし,金磨き布で磨いたら,かなり綺麗になりました(^^).また,このムーブメントの仕様だとは思いますが,秒針を自由に動かしているときには精度がむちゃくちゃです.時分針と秒針の連動がかなり甘いように感じます.だからこそ,フライバック機能が必要な時計だとも思います(^^;;;)...
簡易クロノグラフとしては,オメガのクロノストップがあまりにも有名です.ETA
1168 は,あくまでも三針ムーブメントに簡易クロノグラフ機構を追加したムーブメントですが,クロノストップに搭載されているオメガ920は,キャリングアーム式のクロノグラフムーブメントから積算機能を取り去った,由緒正しい(?)ムーブメントです.ただ,2001年にパネライがこのオールドストックムーブメントを使った時計を出したときには,中身に対して価格が凄かったことを記憶しています(^^;;;)...
一方,詳細は不明ですが,最近,DuBois は ETA 1168 を搭載した時計を販売し,若干日本にも入荷したようです.(2004/6/18)
その後,ケース横の刻印をじっくり見ると,「ARGENT 925 PLAQUE G 20M」...何と銀無垢GPだったことが判明しました(^^;;;).「刻印くらい,買ってすぐ読めよ」という声が聞こえそうですが,てっきりSSのGPだと思っていたので...先入観はいけませんね(^^).入手時のケースの汚れも何となく納得しました.(2004/8/21)
Gruen / Autowind (グリュエン / オートワインド)
GPケース/革ベルト/ケース径32mm/厚さ12mm/自動巻き
1950年代頃のグリュエンのオートワインドです.2006年に入手しました.
グリュエンは,もともとアメリカのメーカーで,手巻のカーベックスやベリシンが有名です.こちらはその後に出たラウンド型の時計です.
銀色の文字盤にアップライトのブレゲ数字インデックスです.スモールセコンドですが,そのインダイアルは一段低くなっています.この当たりは往年のパテック・フィリップに影響を受けたような文字盤デザインです.
針は金色のアルファ型ですが,これは実際にはペラペラした感じです(^^;;;).風防はプラスチック製で,これがかなりこんもり盛り上がっており,雰囲気たっぷりの時計です.
ハの字型のラグに薄型のリューズがケースに埋め込まれるようになっています.また,ステップタイプのベゼルもなかなか魅力的です.
この時計を買った理由は,この古典的なデザインに惹かれたことに加えて,何と言っても,私の定番である「シースルーバック」だったことです(^^).おそらく好事家が,通常はこの上にある裏蓋(おそらくスチールバック)を取っ払い,その後でプラスチックによるシースルーバック化をしたのだと思います.そのため裏側もかなり膨れており,それが理由で厚さが12mmもあります.
ムーブメントはグリュエン自社製の半回転式(いわゆるバンパー式)一方向自動巻のCal.470です.なぜシースルーバックだったのかは?ですが,もしかしたら後付かもしれません.
チラネジ付きテンプの17石5振動で,実はブレゲヒゲゼンマイらしいです(確証はありませんが).ローター軸にあたる部分にもちょうどルビーが入っています.また,ローターがぶつかる部分にはバネが入っています.
グリュエンのバンパー式には,他に460(および460SS)や462(および462SS)などもあったらしく,一時期かなり使われていたようです.
私にとっては初めてのバンパー式でしたが,まさかバンパー式のシースルーバックを入手することができるとは思ってもいませんでした(^^;;;)...ただ,ことこのグリュエンに関する限り,バンパー式は全方向自動巻が出るまでの繋ぎのムーブメントだったのかなぁ,という印象を持ちました.そのくらい,巻き上げ効率が悪かったです.ルクルトやオメガのバンパー式の巻き上げ効率はかなりよいらしいので,この当たりはメーカーによるのかもしれません.
でも,デザインもかなり好みですし,総じて楽しい時計です(^^).(2007/4/1)
P.W.C. (P.W.C.)
SSケース/革ベルト/ケース径33mm/厚さ10mm/自動巻き
おそらく1960-70年代製と思われる,P.W.C.の自動巻です.2007年に入手しました.
このメーカーのことは全く知りません(^^;;;)...時針に少しダメージがあり,ケースもちょっとやれていましたが,その分お手頃だったので入手しました.ちなみに,最初からシースルーバックでした.
シルバー文字盤に金色のインデックスとリーフ型の時分針,そして,アクセントとして赤い秒針がセットされています.針もピンと長くて好みです(^^).
ラウンドケースですが,ラグの部分に少し捻りが入っていることが分かると思います.
ムーブメントはフェルサ690.いわゆる「ビディネーター」で,ローター軸に石が入っています.赤金メッキ仕上げで,ローターに模様が入っています.緩急針も7750っぽいReed's
regulatorが付いています.5振動21石です.
巻き上げ方式は遊星歯車(スイッチング・ロッカー)式で,巻き上げ感もなかなか面白いと思います.
フェルサ690は,現行ではジャッケ・エトアールやハブリングに搭載している時計があります.なお,ジャッケ・エトアールのHPにフェルサ690のオイルチャートがあります(こちらです).遊星歯車は1485/1になります.
フェルサのビディネーターは,世界初の両方向自動巻ムーブメントです.第一世代が410で,こちらのフェルサ690は第二世代のビディネーターに当たります.690をベースにして,691から699まであります.第一世代と第二世代の差は遊星歯車の位置です.
入手時に,この時計にはベルトが付いていませんでした.もともと,この時計は,どちらかと言えば,エボーシュの資料的な意味合いで入手しました.ところが,実際に手にすると,なかなかどうして,雰囲気が好みだったので,ベルトを物色して装着して,使えるようにしました(^^).
こういうプレーンな時計が最近少なくなってきたので,そういう意味でも貴重だと思います.(2008/3/28)
Elgin / Selfwinding (エルジン / セルフワインディング)
SSケース/革ベルト/ケース径33mm/厚さ9mm/自動巻き
おそらく1970年代に製造されたと思われる,エルジンのセルフワインディング.日付付きセンターセコンド三針時計です.2005年に入手しました.
エルジンは,もともとはアメリカのメーカーで,1900年代初めには素晴らしい懐中時計や腕時計を製造していました.もちろん,ムーブメントはアメリカ製の自社製でした.その後,どうも一度スイス資本に移ったようです.今は日本のメーカーが商標を持っていて,昔からは想像もできないような駄作(失礼)を作っています.この時計は,どうもそのスイス資本時代の時計のようです.
文字盤はプレーンなデザインで,6,9,12が数字,それ以外がバーのアップライトインデックスで,メーカー名もアップライトになっています.針とインデックスには夜光が入っていますが,さすがにもう光りません.
針,特に分針が短いのが本当に残念ですが,それでも雰囲気はあると思います.日付は偶数が赤字,奇数が黒字となっています.
ラグが広いケースで,そのせいで,一瞬クッション型にも感じます.風防はプラスチックで,こんもりと盛り上がっています.
この時計を買った理由は,何と言っても,私の定番である「シースルーバック」だったことに尽きます(^^).AS1717という手巻付き自動巻ムーブメントを搭載しています.17石,5振動,11
1/2リーニュ(25.6mm),厚さ4.15mm,5振動,パワーリザーブ42時間です.おそらく片巻上げです.当時としては,結構薄い自動巻ムーブメントだったと思います.
このAS1717はいろいろとバリエーションがあったようで,5振動で手巻の1714,手巻日付付きの1715(1838),手巻日付曜日付きの1819(1830),自動巻の1716,自動巻日付曜日付きの1820(1831)など...これに6振動版も別キャリバー番号が与えられています.それから,デフォルトは25石だったようですが,このムーブメントは17石です.
6時位置の巻き上げ機構はAS独特の形状をしています.ローターには当時のエルジンのロゴマークがくり抜かれています.現在全盛のETA製ムーブメントと比較すると,巻き上げ機構だけでなく,テンプの付き方も異なりますし...全体の金メッキ仕上げも悪くはありません.日付はかなりパシッと変わります.
こうやって見ると,エボーシュS.A.の自動巻ムーブメントもなかなか捨てたものではありません.特に,テンプ受けの根元付近の造形が好きです.ASの巻き上げ機構が覗けるところも楽しいですし(^^)...
時計自身も,決して奇を衒ったものではなく,ごく普通のデザインです.でも,現行時計では,このような「味」のあるデザインの時計はかなり減った気がします...(2005/11/1)
実は,同じエルジンで同じムーブメントを搭載した文字盤違いの時計を最近見かけました.ですので,このシースルーバックはメーカーからディスプレイ用として出た可能性はあると思います.(2006/4/1)
Alprosa / Chronometer (アルプロサ / クロノメーター)
GPケース/革ベルト/ケース径33mm/厚さ10mm/手巻き
おそらく,1940年代から1950年代にかけて製造されたと思われる,アルプロサ(と発音するのでしょうか?)のスモールセコンド三針時計です.2004年に入手しました.Official Catalogue によると,アルプロサはエニカのブランド名でした.ですので,もしかしたらエニカ製のムーブメントを搭載しているのかもしれませんが,詳細は不明です.
白文字盤で,偶数がアラビア数字,奇数がバーの金色アップライトインデックスです.文字盤に多少かすれもありますが,50年以上前の時計としては,まぁ良好な文字盤だと思います.文字盤外周にもスペースがあるタイプで,このタイプの時計は日本でも作られていたことがあるので(国産時計博物館の148ページと177ページ),ある時期流行したのかもしれません...金色のドルフィン針,薄型のリューズ,ハの字型のラグなど,なかなか雰囲気があります.
もともと赤いベルトが装着されていましたし,サイズから考えてもレディース時計だったと思われます.文字盤外周が23mmしかないので,実測値よりもかなり小さく感じます.ただ,このサイズはボーイズともいえるので,OH時にベルトを換装することで,男が付けてもおかしくない時計になったと思います.
ムーブメントは結局分かりませんでした...エニカ製かなぁ?一応,受けにはペルラージュらしき模様が入っています.1950年代っぽい,分割されたブリッジと三番車と四番車の受け石が出っ張っているところを含めた,曲線的形状がなかなかそそられます.ただ,意外と小さいので見栄えはよくありません(^^;;;)...
香箱には「CLEOPATRA」と刻印されていて,レディース時計だった証拠がここにもありました(^^;;;).15石5振動で,チラネジ付きテンプです.
リューズの巻き味はまるで懐中時計のような感じで,しっかりしています.これだけ小振りなのにそのような巻き味だったので,かなり意外でした.
入手先はヤフオクだったのですが,画像で見たときよりも実物があまりにもレディースっぽく,しかも元のベルトは固くて曲がらなかったので私の腕にはめることが出来ず,かなりショックを受けました.最初はベルトははめ殺しタイプだと思ったのですが,実はバネ棒式だったので,茶色のリザードに交換しました.これでようやく腕にはめることができるようになりました.ベルトの交換で,時計の雰囲気が大分変わったと個人的には思っています.
同じシースルーバックでも,上に挙げたモバード,ベネディクト,エクセルシオパークが,どちらかと言えばムーブメントを見せようという意識が高いのに対し,この時計はこのケースが流行していたから作った,という印象を持ちました.
風防やケースには傷が多かったのですが,使用頻度はデッドストック並みに低かったらしく,OHしたら快調に時を刻むようになりました.(2004/6/18)
Anonymous / Chronometer
GPケース/革ベルト/ケース径32mm/厚さ10mm/手巻き
この時計は,友人のまりりんさんから今年の初めに譲り受けた時計です.不動品ということで時計本体だけ受け取ったのですが,さて修理をしようかと思ったときにワインドさせると,きちんと時を刻み始めたので,ベルトを付けて使えるようにしました(^^).
成り立ちは,上のアルプロサに似ています.特にケース形状はほぼ同じです.文字盤には,ChronometerとSwissと,まるでオリエントスターのようなマークが入っています.漆黒の文字盤に金のドルフィンハンドと3箇所の楔形インデックスです.
この文字盤のマークは,デッドストックのオリエントスターのマークとは若干異なっていますし,この時代のオリエントがスイス製ムーブメントを使ったということは私自身は聞いたことがありませんし,スモールセコンドということもあり,これはおそらくオリエントではない別の時計だと思います.もしかしたらオリエントのフェイク,かもしれませんが,あの時代にはそれは少し考えづらいです(^^;;;)...
ムーブメントはスイス製の15石5振動の手巻で,チラネジ付きテンプです.上のムーブメントよりも時代は近いとは思いますが,おそらく40-50年代のムーブメントだと想像しています...
アルプロサやこの時計の意匠の時計は,最近はローマーから出ています.ただし,ローマーは時計径は大きいのに対してムーブメントが小さいので,文字盤外周スペースがとても大きくなっています.個人的にはローマーよりも,これらの時計のバランスの方が好きです(^^). (2006/4/22)